Short Story. 1
elementalの物語
(Story of elemental)

いつも暗闇にいた。
その暗闇には出口があった。
その向こうに何があるのか、知りたかった。

ここは穴倉。ニンゲン達はShameと呼んでいるけど。
穴倉には出口があって、とってもまぶしいんだ。でも僕達は、そこから出ることができない。

あの向こうには何があるのかな?
いつもそんなことを考えてた。


ニンゲン達は、僕達を壊しにやってくる。
壊れたら、僕らは魂になって、暫くうろうろする。気に入った場所があれば、そのあたりの土に潜り込んで、体を作る。 いつもそれの繰り返し、だったけど、、、

きっかけは、
魂になってるとき。

ニンゲンが
僕に気付いた。

そのニンゲンは、ひげもじゃの老人で、魔法で紐みたいなのを飛ばしてきて、僕の体を削っていった。

ごりごりって削れていって。痛いの何のって。

そして僕は力尽きて、魂になった。
いつもニンゲンは、力尽きた僕の体から金貨とか宝石とかを取っていくんだけど、その老人は違った。

魂になった僕を
じっと
見ていたんだ。

今までにこんなことは無かった。ニンゲンは、魂になった僕が何をやっても、僕の方を見ることは無かった。今までは。
僕も老人を見つめていたら、
「ふむ、君には感情があるようじゃな。」
と話し掛けてきた!

「何で僕と話せるの?僕が見えてるの?カンジョウって何?」
「こらこら、質問は1つずつするもんじゃ。」 と老人は、懐から丸椅子を取り出し、よっこらしょっと腰をかけた。 「立ち話は腰に響くんでな。失礼させてもらうよ。」 老人は懐から何かを取り出し、火を付けて吸い始めた。旨そうだ。
「ねぇそれ何?美味しいの?教えてよ!」
僕は老人に掴みかかろうとしたけど、魂だけなのですっぽ抜ける。
「はっはっは。そうせかすな。好奇心旺盛な奴じゃな。」

老人はしばらく、じっと僕を見つめ、そして、 「君は外に出たくないかい?」
と言った。

  僕が?外に?
  行きたいよ。
  ものすごく行きたい。
  あの光の向うに何があるか、見たいよ。
  でも僕は、行くことが出来ないんだ・・

こう老人に言うと、老人はニヤリと笑い、呪文を唱え始めた。

その声を聞いて、
なんだか自分が
水になって、
渦に
飲み込まれ
るよ


・・






気が付いたら、
僕はニンゲンになってた。


すごいふにゃふにゃしてて、頼りない体。すぐ壊れそうだ。それに少し寒い。
隣に老人がいた。場所は穴倉のままだ。
「素っ裸では寒かろう。これを着なさい」
と老人は、懐から服を取りだして、僕に着せてくれた。少しあったかくなった。
さらに老人は、懐から剣と鎧と盾、カバンを取り出して、僕にくれた。
剣や鎧は、僕を痛くするニンゲンが持ってるものだからいやだったけど、しぶしぶ身につけた。
「そろそろ外にでるかの。」

僕と老人は、出口までやってきた。とても眩しい。
僕は、出口で躊躇した。いつもみたいに出れないんじゃないかと思って。
でも、老人に手を引かれ、

あっさりと、

外に出れた。

 外の世界は
  眩しくて、
   広くて、
    暖かかった。

僕はへたり込んで、やわらかくて心地よい草の上に寝転んだ。

「この道をまっすぐ行くと、首都ブリティンにいける。首都なら、いろんな物を見てることができるぞぃ。」
「ほんと!すぐに行こうよ!」
がばっと起き上がって、僕は老人を引っ張っていこうとした。
でも、老人は首を横に振った。
「君一人で行くんじゃ。わしは行けん。」
「どうして!」
老人は首を振るばかりで、何も言わない。
「・・・分かったよ、僕だけで行くよ」

歩き出そうとした僕に、老人は旨そうに吸ってたもの(煙草というらしい)をくれた。
「餞別じゃ、あと、、、GMには気をつけるんじゃぞ。分かったな。」
そう言い残すと、魔法でどこかに行ってしまった。


こうして僕は、外の世界に出ることが出来た。ニンゲンとして。
首都にはいろんなものがあった。大きな城や、たくさんのニンゲン、小さくてかわいい動物や心地よい音。
おしゃべりに夢中なニンゲン達を見ながら、とびきり甘くて美味しいもの(ケーキと言ってたな)をほおばった。
単調で退屈な穴倉とは大違いだ。
ずっとここに居れたらいいな。

僕は水場(なんで水が吹いてるんだろう?)で、老人から貰った煙草を吸ってみた。
げほげほげほ。
咽に引っ掛かるみたいだ。なんだこりゃ?
全然美味しくないよ。

そのとき、
「その煙草、何処で得た?」
と、突然声がした。
いつのまにか、後に真っ赤なローブが立っていた。
何か違う。只のニンゲンとは違う感じだ。

「それを誰から受け取った?」
僕は今までの事を説明した。
穴倉にいたこと。
老人にニンゲンにしてもらったこと。
その老人に煙草を貰ったこと。

「そうか。君はエレメンタルか・・・」
赤ローブの顔はよく見えたなったけど、
「悪いが君は消えてもらうよ」
僕は、とてもとても恐くなって、
「その煙草もあっちゃいけない物なんだ」
何も言えず、動くことも出来ず、
「例外は許されないんだよ」
僕は、希薄になって、
周りが暗闇になって、

世界が
無くなった。


暗闇の中、ぼぅっと光る水晶球の前の老人。
「また失敗か・・」
にやりと笑い、手に持った煙草を吸った。
旨そうに。


2003/04/03( in Sakura shard )
wrriten by konayuki( into UO:Sakura shard )