Short Story. 2
占い師の1日
(fotune-teller's day)

 ブリ銀横の、ちょっと奥まった通りを入っていくと、いつも小さな机と水晶球と、グレーのローブの女がいる。
 小さな机の上には、「貴方の知りたいことを占います。100gp」と小さな看板が立っている。
 この占い師は結構当ると、ブリティンのちょっとした噂になっている。
 今日はこの占い師の一日を見てみたいと思う。


〜占い師の一日〜


 占い師の朝は遅かった。昼が過ぎ人々がせっせと働く時間に、やっと出てきて店を出した。
 始終眠たそうな顔をして、あくびまでしている。重みとか威厳とかは微塵も感じられない。

 とそこに、一人の女性が小走りに走ってきた。
「あの、、なんでも占いで教えてもらえるって、本当ですか?」
「100gpくれたらね」
 占い師はつまらなそうな顔で答えた。
「あの私、あんまり明るくなくて、で、その、人好き合いも苦手って言いうか、、、」
 女性はしどろもどろに一生懸命話している。が、占い師は眉一つ動かさない。
「で、その、、彼氏っていうか、その、、、」
「要は男が欲しいと」
 身も蓋もねぇ。
 女性が真っ赤な顔してコクコクコクと頷く。
 占い師は手を差し出し、「100gp」と呟く。女性は慌ててお金を手に載せる。

 占い師はむにゃむにゃと水晶球に呟きかけ(ほんとに「むにゃむにゃ」と言っていた)、すっ、っと女性の方を向き、
「明後日、Vesper銀行の北側の橋に行ってごらん。良い事あるから」
 と告げた。
 心配そうに見つめていた女性は、ぱっと顔を輝かせ、ぺこぺこぺことお辞儀をし、去っていった。
 占い師は、片手をひらひらさせて見送り、貰ったお金を足元の鞄にしまい込んだ。


 空がオレンジ色に染まる頃、2人目の客がやって来た。
「やぁ、何でも占う占い師ってのはあんた?」
 金ぴか鎧に身を包んだそいつは、小馬鹿にした口調で話し掛けていた。
「100gpくれたらね」
 占い師は、つまらなさそうな顔で答えた。
「俺は今、最上のドラゴンスレイヤーを探してるんだが・・」
「鍛冶屋は北。ここは占い屋。冷かしは帰って。」
「おいおい俺は『最上の』って言ったんだ。占い師に話しても分からないだろうけどな・・」
と金ぴか野郎は、とうとうと理想のドラスレ像を語りだした。
 占い師(と俺)は、つまらなそうに話を聞いた。実際つまらなかった。
「・・・という訳で、古代竜を100匹でも倒せるような、そんな剣を探してるんだ」
「100gp」
「え?」
「100gp払ったら、その剣の在りかを占ってあげるよ」
「は!できるもんならやってみろよ」

 机の上に放り投げられた100gpを拾い、占い師はむにゃむにゃと呟きだした。
「今日の、日が暮れてから2時間、銀行前を観察してみて」
「おいおいそこらの行商人が、俺の求める剣を・・・」
 占い師は、上目使いでニヤッと笑い、
「見逃すと後悔するよ?」
と呟いた。
 圧倒されたのか、金ぴかはすごすごと人ごみの中に消えていった。
 占い師は100gpを、足元のカバンにごそごそとしまった。


 酔っ払いたちが酒場で騒ぎ出す頃、3人目の客が来た。
 黒いローブを羽織った紳士だ。
 「失礼だが、、、色々と占ってくれるというのは貴方ですか?」
「100gpくれたらね。」
 これは決り文句のつもりなんだろうか?
 紳士は、机に100gpをそっと置いた。
「実は、我がギルドでちょっとした騒ぎが起きたんだが、、、」
 なかなか深刻な話だ。が、やっぱりつまらなそうな顔をして話を聞く占い師。
「疑わしい者は絞り込めたんだが、証拠が無くて困っている。」
「ふーん。」
「ここの占いはよく当ると聞いている。どうしたら良いと思う?」

 占い師はいつものように、むにゃむにゃと水晶球に呟いた。
「・・・赤ローブと骸骨頭が容疑者ってわけね。」
 紳士がハッっとする。
「物証はもう処理されてるようね。でも、高圧的に攻めれば、自分から認めるわ。」
 紳士は深刻な顔をしている。
「やはりアイツか・・ありがとう。参考にさせてもらうよ」
 紳士はRecallでその場を去った。
 占い師は手をひらひらさせ見送り、足元の鞄に100gpを収めた。


 あたりが静かになった頃、店じまいだろうか、 占い師はうぅんと背伸びをして、そしていきなり

こっちを見た。

「そこのあんた。昼からずーっと私を見てて面白い?」
 バれてる。完璧に。Hideは成功してるしDetectHiddenを使った形跡も無い。何故だ!?
 俺はHideを解き、占い師に聞いた。
「なぜ分かった?」
「完璧に姿消してても、じーーっと凝視されちゃあ、Headlessでも気が付くわよ。」
 俺のHideはHeadless以下か、、少しプライドが傷付く。

「占い師さんよ、あの占いは本当に当ってるのか?」
「知りたいんだったら100gp」
 占い師は手を差し出す。根っからの商売人だ。
 俺はしぶしぶ、手のひらに100gpを乗せる。
「普通はネタ晴らしはしないんだけど、昼からずっと隠れてたその努力に免じて、今回は特別・・・」
 占い師は肘を机に乗せ手を組み、その上に頭を置いたポーズで話し出した。

「占いの基本は、その人が見たいと思っている事を見せてあげる事。黒いローブのおじさまは典型ね。」
「でも赤ローブに骸骨頭って特定して・・」
 占い師はふふんと笑い、
「おじさまのギルドはよくそこの銀行を使う。で、よからぬ話は、ココみたいな裏道でするんだよ。」
 ・・・こいつ知ってやがったのか。
「このパターンは、後押しするだけ・・簡単よ。」

「じゃあ一人目のは?」
「基本的には同じ。ただ、ちょっと演出するけど。」
「?」
「あの手の話は多いわ。だから、時間と場所をセッティングしてあげるだけよ。」
 要は彼女の欲しい男に、同じ時刻と場所を『占った』ってわけだ。

「・・・解った。じゃあ二人目のはなんだ。そんな都合良く名刀が見つかるわけ無いだろ。」
 占い師は、おもむろに足元の鞄をごそごそと漁り出した。
「実はね、私には友人が居てね・・・」
 占い師は、鞄からあるものを取り出し、机に置いた。
「その友人は『何でも売りさばける天才商人』でね。今回も、彼がいい仕事してくれてるはずよ。」

机の上には、
コミュニケーション
クリスタルが。

 あっけに取られる俺を見て、彼女はけらけらと笑った。


2003/04/04( in Sakura shard )
wrriten by konayuki( into UO:Sakura shard )