Two Adventurers Stories. 2
くまのぽー
(Poo. a bear doll.)

Moonglow島のLycaeum近くの林に、小さな家がありました。

その家には、小さな女の子とお父さんが住んでいました。
小さな女の子の友達は、大きな熊のぬいぐるみです。名前をぽーと言います。
小さな女の子は、お父さんから貰ったそのぽーを、大事にしていました。

「おとうさん、昔ぼうけんしてたんだって。」
女の子は、いつもぽーとお話していました。

「ぼうけんってわくわくするよね」
両手でぽーを抱きしめて、女の子は嬉しそうにしていました。


数年後、女の子のお父さんは死んでしまいました。
「ぽー、、、私一人ぼっちになっちゃったよ。」
女の子は、いっぱいの涙を目に貯めて、ぽーを抱き締めます。
「お父さんの仲間だったって人が来て、魔法学校に入るように言ってるんだ、、お父さんの意思なんだって、、」
女の子は、ぽろぽろと涙を流し始めました。

「どうしたらいいの?ぽー、教えてよ、、」
ぽーは黙ったまま、女の子の涙を吸い続けました。


数年後。
林の中の家に、久しぶりに女の子が帰ってきました。
全寮制の魔法学校に通う彼女は、長い休みに合わせて、帰省してきたのです。
暫く使われず、ほこりの積もった家。
そして、大きな熊のぬいぐるみ。

「ただいま、ぽー。」
彼女は、昔のようにぽーに話し掛けます。
「・・・学校なんてもう嫌。」
ぽーを見つめながら、彼女は話します。
「みんなお金持ちの家だからって、私の事馬鹿にしてさ、、」
ぽーは黙ったままです。
「頭が良いからって、つんとすましちゃってさ、、」
彼女の話は止りません。

「、、だれも、友達になってくれないよ、、」
ぽーは、ビーズで出来た目で、彼女をじっと見つめています。

「冒険者になったら、仲間が出来るかな?」
彼女はぽーを抱きかかえ、呟きます。
「お父さんの言ってた、『背中を任せられる仲間』が、できるかな・・・・」
ぽーは、黙ったままでした。


さらに数年後。
小さな女の子だった彼女は成長し、魔法学校も卒業し、冒険に出る準備をしていました。

「ぽー!」
銀行から戻ってきた彼女は、興奮気味にぽーに話し掛けます。
「今ね、銀行で冒険に誘われたよ!みんな良い人で、魔法の装備もくれたんだ!」
ぽーは黒いビーズの瞳で、じっと彼女を見つめています。
「明日、ダンジョンに行く事になったんだ。たくさん儲かるんだって!」
ぽーは、黙ったままです。
「・・・」
少し興奮の抜けた彼女は、力なく椅子に座ります。
「・・なんで私、ぬいぐるみ相手に・・」
気を取り直した彼女は、いそいそと明日の準備を始めました。

彼女の頭の中は、新しい仲間と、胸躍る冒険で一杯です。
ぽーはベットの上から、そんな彼女をじっと見つめていました。


数日後。
彼女は1人の剣士と共に、家に帰ってきました。

剣士を外に待たせ、家に入っていく彼女。
ベットの上には、熊のぬいぐるみが。
「ただいま、ぽー。」
彼女は、ぬいぐるみを抱きかかえました。
「私、旅に出ることにしたよ。」
彼女は、窓から外を見ました。
窓の外には、木にもたれかかり、ぼんやりと空を眺める剣士の姿が見えます。
剣士の鎧には、Drakeに噛まれた後が残っていますが、剣士は気にしていないようです。
「誰も信じれなくなってた私を、彼は助けてくれた。」
ぽーをテーブルに置き、その向かいに彼女が座り、頬づえをして彼女は話しました。

「私がどれだけ役に立つか分からないけど、だけど、彼と一緒に旅をしてみることにしたの。」
ぽーのビースで出来た目が、彼女をじっと見つめています。
「『背中を任せられる仲間』になれたらなって、思ってる。」
ぽーはただ、黙ったままです。
「・・ぽーは、ぬいぐるみだもんね。」
彼女は、ぽーをベットに置き、頭をぽんぽんと軽く叩きます。

「でもね、ぽーは、私の友達だよ。」
ぽーは、やっぱり、黙ったままでした。


Moonglow島のLycaeumの近くの林に、小さな家がありました。
そこに住んでいた彼女は、家の鍵を閉め、剣士の元に駆け寄りました。
「用事は済んだのか?」との剣士の問いに、彼女は「うん」と答え、一緒に歩き出します。

彼女はふと、家の方を見ました。
林の中の、小さなログハウス。
窓際には、熊のぬいぐるみが見えます。
(・・あれ、窓際に置いたっけ?)

熊のぬいぐるみは、
黒いビーズの目でこっちを見つめ、にっこり笑って手を振って、、

一瞬だけ
そう見えて。

やっぱり熊のぬいぐるみは、窓際に置いてあるだけでした。

(ばいばい、ぽー。 またね。)
彼女は、小さく手を振り、少し先で不思議そうにこちらを見ている剣士に追いつきました。
「誰か居たのか?」
剣士の問いかけに、彼女は、
「うん、友達。」
と答えました。

悩みこむ剣士の顔を見て、彼女は無邪気に笑いました。


2003/04/07( in Sakura shard )
wrriten by konayuki( into UO:Sakura shard )