Two Adventurers Stories. 7
決断(上)
(Decision. 1)

 洞窟を進む。
 NightSightを使っていても、奥まで見通せない。
 俺達は、モンスターを警戒しながら進む。

 だが敵は、
 モンスターだけでは
 なかった。

 開けた場所で、他のパーティーと出合った。
「hail」
「hi」
 俺が声を掛けると、向こうも返してきた。
 他のパーティーを把握して損はない。
 向こうは女シーフをリーダーに、重装備の斧使い、黒ローブの魔法使いと、
 駆け出しの少年。
 新人訓練って所か。

「調子はどうだ?」
 俺が聞くと、
「ん、まぁまぁね」
と女シーフが返す。
 差障りの無い会話を交わし、分かれる。

 彼らが暗闇に消える頃になって、彼女の異変に気付いた。
 彼女は俺の背後に立ち、下を向いて顔を隠していた。
「どうした?」
と肩に手を置くと、彼女は

 がたがたと、
 震えていた。

「おいしっかりしろ」
 彼女の目が怯える。
 まるで、初めて会った、あの時のように。
 おどおどと彼女の目が泳ぐ。
「なんで、、あいつらここに、、」
 力が抜け、すとんと腰の落ちる彼女。
「さっきのパーティーか?」
「・・うん」
「奴等、何者だ?」
「あいつらは、、」


「私を、殺そうとした」

 耳を疑う。
 あいつらが?
 普通のパーティーに見えたが。

 ふと、少年の顔が脳裏に浮かぶ。
 少年は、信頼しきった、それ故に厳しさの足らない、あどけない目をしていた。
 もし彼女の言う事が本当であれば、あの少年はここで死される。

「どうする?」
 俺はしゃがみ込み、顔を覗き込む。
「え、、」
「戻るか、それとも助けるか」
「助ける・・?」
「そうだ、あの少年を助けるかだ」
「助けるって、、」
「どっちにするかは、お前に任せる。」

 俺は立ち上がり、座る彼女を見下ろす。

「自分の進むべき道を、決めろ」

 彼女は目を閉じ、
「待って・・」
両腕で自分を抱き、
「ちょっと待って」
指に力を込める。
 震えを静めるように、
 力を貯めるように、
 深呼吸を繰り返す。

 俺は待つ。
 彼女の決断を。

 そして、
「・・決めた」
顔を上げ、彼女が宣言する。
「あの子を、助ける」

 目から怯えが消え、決意が見て取れた。

 いい目になった、
 と俺は思った。


 奴等を追って、闇を走る。
 このダンジョンの構造は把握している。
 何処にモンスターが現れるか。
 何処で休息すれば安全か。
 何処だと邪魔が入りにくいか。
 彼女は俺の後に続く。
 そして、人の争う音が聞こえてきた。
「こっちだ」
 俺は剣を抜き、スピードを上げる。
 奥に少年が見えた。
 肩を押え、壁にもたれかかっている。
 その目前には斧使いが立ち、斧を振り上げている。
「待て!」
 俺は割り込み、振り下ろされる斧を弾く。
「ひぃっ」
 縮み上がっていた少年が、四つんばいでおどおどと逃げる。
 彼女の開いたGateに少年が転り込むのを確認し、
「新人研修にしちゃ、激しすぎやしないか?」
と斧使いを睨んだ。

「再びこんにちわ。剣士殿」
 沈黙する斧使いに代わり、少し離れていた女シーフが答えた。
「邪魔しないで下さらない? せっかくの狩りが台無しじゃない。」
 女シーフは、優雅に腕を組んでいる。
 俺は何気なく移動し、距離を取る。
「狩り?狩るモノが違うんじゃないか?」
「これが私たちの、『狩り』なのですよ。」
 とその時、彼女が前に進み出て、奴等を睨み付ける。
「狩り、、ですって」
 女シーフが少し驚いた表情を見せる。
「あら、貴女はあの時の・・・」
 そして再びゆっくりと微笑む。
「また狩られに来たのかしら。」

「いいえ」

彼女は、
怯える事無く
臆する事無く
毅然とした態度で

「貴方達を倒す」
きっぱりと
言い切った。


2003/08/13( in Sakura shard )
wrriten by konayuki( into UO:Sakura shard )