Two Adventurers Stories. final
決着の時(4)
(Showdown -4-)

 半分崩れた古城。
 私はその中を、剣士と二人で歩く。
 彼はいつもの様子で、静かに歩を進めていた。

 2階、その奥。
 私が最後に見た扉を抜け、中に入る。
 姫君の寝室、のはずだけど、
 今は只の、廃墟。
 壁には装飾されていたであろう跡だけが残り、まともな窓は一枚も無い。
 奥には、天蓋の付いたベット、であった固まりがあるだけ。
 彼は、そのベットの横に立ち、そのマットを見つめていた。
 そのマットは、ぐずぐずに裂け、見る影も無いが、

 それでも分かる、
 どす黒い
 血の跡。

「話が、途中だったよな。」
「え、、あ。うん。」
 漆黒鎧の男、元騎士団団長に割り込まれ、途中になっていた話。
 つい先日のはずなのに、ずいぶんと昔のような気がした。

「火事のあった日、俺はここで、奴に姫君を殺された。」
 彼は、手にした剣を眺める。
「それから俺は、この剣と一緒に、旅をしたんだ。力を得て、奴に復讐する為に。」
「お前と出合ったあの時も、そうだ。適当なゲートに潜ってそこから脱出するのは、いい腕試しだからな。」

 私は、彼の剣を見る。そこに刻まれた言葉。

『我等主の為にのみ、
この剣を振わん』

 只の飾り文句だと思っていた。
 この剣が折れ曲がった時に、わざわざ修理したのも、馴染んだ武器だからかと思っていた。

違った。

この剣自体が、
誓いだったんだ。


「だけど、」
と彼は、ベットの前に移動し、
「もう、復讐の為の旅は、終りだ。」
 剣を振り上げ、
 床に、突き立てた。


薄青い剣は、
初めからそこに
あったかのように、
突き立った。

「さぁ、ブリに戻るぞ」
 いつもの調子で。
 私も、「うん」と答え、後に続いた。


  そして、数日後

 ここは、ブリティン北の鍛冶屋。
 いつものように、老人が剣を鍛えていた。
「よぅじーさん」
 俺は鎧を脱ぎ、シャツに上着の身軽な格好で来ていた。
「やはり、行くのか」
「あぁ。とりあえず相棒の家に世話になる。」
 Moonglow島のLycaeum近くに、彼女の家がある。
「図書館って奴にも、行ってみたいしな」
「お前さんに読める本など、絵本ぐらいなもんじゃろうて」
「・・・」

「あの男、死刑になるようじゃの」
 騎士団の元団長。漆黒鎧の男。
 俺の、仇だった男。
「さぁな。」
 でも、もうどうでも良い話だ。

「ところで、武器はどうするつもりじゃ。あの剣は置いてきたんじゃろ?」
「いらねぇよ、ダンジョンに潜るわけでもなし」
「まぁそういわず、持っていけ」
 と老人は、ありったけの武器を、床に散らばした。
「・・おいおいじーさん、、」
「これなんかお勧めじゃぞ」
「・・って、こんな馬鹿でかいランスで何をしろと?騎乗試合じゃあるまいし。」
「これは?破壊力抜群じゃぞ」
「ハルバードじゃねぇか。でかすぎる」
「これでどうじゃ」
「俺がCrossBowを持って、どうしろと?」
 喜々として武器を選ぶ老人。馬鹿馬鹿しいが怒る気になれない俺。

 ふと、隅に目が行く。
 シンプルなLongSword。
 柄近くの刃に布が巻いてあるが、それ以外飾り気も何も無い、だけどコンパクトで扱いやすそうな剣。
「これ、いいか」
 俺はそのLongswordを手に取り、数回振る。
 うん、いい感じだ。
「なんじゃ、つまらん選択をしよるの。」
 老人は、散らかした武器を片付けつつ、ぼやく。
「俺ともう一人を守るには、これで十分だ」
 俺が何気に答えると、老人の手が一瞬止り、
「ふぉふぉ、そうかそうか。」
と、にやにや笑い出した。


「じゃあなじいさん。」
 剣士はそう言い、老人の前から去る。
 老人は手を振ったりする事も無く、ただその後姿を眺めていた。


 剣士が暫く行くと、女魔法使いが待っていた。
「済んだ?」
「あぁ。」
 そして歩き出す。
 二人一緒に、
 横に並んで。

 女魔法使いの目が、剣士の持つ剣に向けられる。
「あぁこれか。」
 剣士がその剣を、女魔法使いに渡す。
「師匠からの餞別。邪魔に・・・」
「なにか、書いてあるよ。」
「・・・は?」
 女魔法使いは、剣に巻かれた布を取る。
 その下には、文字が彫り込まれていた。

『汝とその相棒に、
旅の安全があらん事を』

「・・あのじじぃ。」
 苦笑い。
 この剣を選択する事を知ってたのか、それとも全ての武器に彫り込んでいたのか。
「いい、お師匠様ね。」
「只の暇な、じぃさんだ。」

森の中に続く道。
真緑の葉から、
眩しい光がこぼれる。
一人の剣士と、
一人の魔法使い。
二人は一緒に、
道を進んでいった。








"Two Adventurers Stories." Fin.






Thanks to All readers and writers.






I wish to you and your partner's luck !







2003/10/26( in Sakura shard )
wrriten by konayuki( into UO:Sakura shard )